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宇多田ヒカルさん　　　　　2/3ページ　　　　　2018.11.01　UP

ドラゴンヘッドは、現世のテーマを表しています。宇多田さんのやさしさは、心悪い人につけ込まれるほど純粋で深いものですが、それでも人を思う深い同情心は、現世を生きるなかで「傷」とともに重要なテーマであると言えるでしょう。

このかに座とやぎ座というドラゴンポイントの組み合わせは、宇多田さんの傷の原因も示しています。
先ほども書いたように、かに座は「絆」「家族」「愛情」といった言葉がキーワードになるのですが、ドラゴンテイルがやぎ座ですので、やぎ座の性質である「規律」「忍耐」といった自戒の思いが、かに座の足を引っ張る形になるでしょう。
両親からの愛情を欲しいと強く思いつつも、それらを満足に得られなかった可能性があります。得られなかったというか、求めてはいけないと自分の欲求を抑えていた、と言ったほうが近そうです。アイデンティティが欲しいと願いながらも、それを手に入れるのが難しいのと同じです。
そうした「親への甘えに欠落感や飢餓感がある」とか「両親の存在が格別強い影響を与えていそう」と書いたのは、以下の状況によります。

・ドラゴンヘッドがかに座、ドラゴンテイルがやぎ座
・POSが第4ハウス
・第4ハウスにいる火星が、一番多くアスペクトを取っている
・金星×キロンがスクエア
・月×うお座
・月がペリグリン（-5）
・月の度数
・金星、火星×第4ハウス
・キロン×第7ハウス
・月×キロンがセクスタイル

魂が渇望するものを示すPOSが第4ハウスにいますからね。
第4ハウスは「家族のハウス」と呼ばれ、幼いころに育った家庭環境などを表すとされています。「家族」や「愛情」に対して、人並み以上にこだわりがあるのではないでしょうか。

金星が第4ハウス、また同じくそこに位置している火星が一番多くアスペクトを取っていることも、第4ハウスが強調される星回りと言えるでしょう。
かに座と同じ性質を表す星は、月になります。宇多田さんの月はうお座にいることで、その影響力は表れやすいのですが、ペリグリン（-5）にもかかわらずその度数から判断すると、月の力が良くない形で出てきそうです。
月が司るキーワードは、ズバリ「母」。そして「過去」や「潜在意識」といった自意識が及ばない範囲も表してもいますので、子供のころ母親から受けた行為や思考は宇多田さんの心の中に深く染みつくことになるでしょう。

月はキロンとセクスタイルを形成していますが、ソフトアスペクトで吉座相とされるセクスタイルも、傷を象徴するキロンと角度を作っていたりオポジションがないことで、その意味は厳しくなってしまいます。
幼少期に母親から拒絶されたという思いが強いのではないでしょうか。逆に素晴らしくできた母親で、良妻賢母を絵にかいたような人であっても、「なんでもできるお母さんに対して私は・・・」と自分を低評価してしまうかもしれません。
自己を知るために必要なオポジションがないことで、どうしてもネガティブな方向に気持ちが動いてしまうようです。

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ご本人としてはそうした深い傷を抱え、生きにくさを抱えてきたかと思いますが、そのつらい思いが、のちに自分を認識することができる要因になりそうです。

音楽や文学また美術といった芸術の世界で自分を表現すれば、欠落感や飢餓感が癒されるのではないかと書いたのは、以下の星回りから読み解きました。

・太陽、月、火星の度数
・太陽×第3ハウス
・ASCがさそり座、MCがしし座
・火星×うお座
・海王星×いて座
・太陽×水星がコンジャクション
・キロンがアンギュラー
・月×第5ハウス
・火星×第4ハウス

月が音楽の度数にいますから、その感性や思考を音に乗せて表現するのに長けているでしょう。いて座やうお座は、芸術を愛する心を持っていることを示しています。
書くことに向いているのは、「知識のハウス」と呼ばれる第3ハウスに太陽がいること、その知識をキーワードに持つ水星が太陽とコンジャクションであることから判断しました。

宇多田さんの場合、書いた文章や絵などを多くの人に見てもらうよう公表するのが肝なのですが、これはMCがしし座であることが決定打になっています。
しし座は、ステージ上でライトを浴び喝采を浴びるのが最上の喜び。大勢の人に見てもらい、「素晴らしい！」と評価してもらうことで満足を得られるのです。自己認識力が低い宇多田さんにとって、自分の傷をさらけ出しそれを多くの人に共感してもらうことで、やっと自己を認識できるのではないか、というわけです。
そんな自己都合抜きに見ても、月が第5ハウスにいたり、火星が第4ハウスで一番多くアスペクトを取っているので、エンターテイナーとしては元から適性があるでしょう。

表現の核が傷であることは、キロンがアンギュラーだったりASCがさそり座であることが示しています。
宇多田さんのキロンはアンギュラーであるほかにも、アスペクトを7個と多めに取っていますので、その性質は強くしかも広い範囲に影響を及ぼしそうです。

コアなファンを抱え、長く活動するアーティストのなかには、キロンが複数の天体とアスペクトを形成する人がいるのですが、これはキロンが持つ「芸術」「傷」というふたつのキーワードが組み合わさり、発揮される力が増した結果で、宇多田さんのキロンはこのパターンに見事にあてはまるように読み取れます。
昔、尾崎豊さんが青春時代に抱えた学校や社会に対する不満を歌で表現し多くの若者から支持されましたが、そのパターンと同じです。

ASCには、さそり座がいます。ASCは自分の意思を外に出すときの行動パターンを表すとされています。
さそり座のキーワードには「トラウマ」がありますから、もうその心の傷は骨の髄まで染み込んでいるでしょう。

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