イクリスプの読み解き結果と解説

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★宇多田ヒカルさんの2013年のホロスコープ(イクリスプ含)
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宇多田ヒカルさんのイクリスプ

★日蝕(2012.11.14)とのアスペクト表
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宇多田ヒカルさんのイクリスプのアスペクト(日蝕)

★月蝕(2012.11.28)とのアスペクト表
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宇多田ヒカルさんのイクリスプのアスペクト(月蝕)

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宇多田ヒカルさん     2023.04.01 UP

 【 メルマガ第52号より(発行:2022.10.01)】

※文中の略語は、次の意味になります。
・(ネ)ネイタルチャートの感受点
・(ト)トランジットの感受点
・(プ)プログレスの感受点


※対象とするイクリプスは、この年の誕生日前に起こった下記日蝕および月蝕を採用しました。

・(日蝕)2012年11月14日 さそり座 21度
・(月蝕)2012年11月28日 ふたご座 06度

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対象となる日蝕は、(ネ)キロンの真ん前で起こります。
生まれたときひとつもオポジションを持っていなかった宇多田さんにとって、30年の時を経て起きたこのオポジションは、自身が持つトラウマを照らす明かりであり、その姿を映し出す鏡でもあります。きっと、その存在をはっきりと認識したことでしょう。
ただこの出会いは、宇多田さんにつらい体験をもたらしたかもしれません。というのも日蝕は、顕在意識を表す太陽を潜在意識を表す月が蝕んだ状態。つまり潜在意識がものすごい勢いで彼女の心に湧き上がってくる恐れがあるからです。

日ごろ私たちは顕在意識を軸に活動しているつもりですが、それは自身のごくわずかな部分に過ぎず、本当の自分は潜在意識が舵を握っています。
よく、顕在意識は海に浮かぶ氷山の一角、潜在意識は海面下にある巨大な氷の塊として例えられるのは有名な話です。

この年、宇多田さんは海面下にある大きな氷の存在に振り回されることでしょう。自覚していたトラウマだけでなく、このとき初めて気付いた心のキズにも悩まされることが多くなりそうです。
しかもよりによってこのときの日蝕は、さそり座で起こっています。さそり座には「トラウマ」というキーワードがありますので、なおさらネガティブな感情に支配されやすくなります。

キロンつながりで言えば、(ト)キロンとは、月蝕が90度の位置を取っています。
90度つまりスクエアは悪運や試練、選択とか路線変更といった、行き先を強制的に変える力があります。しかもそれは突然訪れることが多いため、影響を受ける身としては戸惑いのほうが大きく、立ち往生してしまうのが通常です。
生まれたときのキロンの前には日蝕が、30年後のキロンには横から月蝕が突っ込んでくるのですから、身動きが取れなくて当然というものです。


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2013年は、宇多田さんにとってサターンリターンの年です。彼女のトランジットとプログレスを読んだとき、「過去を振り返り、成果の確認、反省、課題の洗い出し、そしてこれからの30年で取り組むテーマを決める一年」と書きました。そのことは、対象となる月蝕も宇多田さんに提起しています。

(ネ)ASCおよび(ト)ASCに対して、月蝕は150度の位置で起こっています。150度のアスペクトはクインカンクスと呼ばれ、調整とかすり合わせ、加工といった後天的に何かを変える出来事の訪れを予告します。
ASCはその人が生まれたとき、東の地平線上にあった星座。東は太陽が昇ってくる方向であり、そのことからこの位置にあった星座の性質は、本人の性格や容姿などに多大な影響を与えるとされています。つまり宇多田さんからしたら、すべてにおいて始まりの場所であり、起点でもあるわけです。コンパスに例えるなら、尖った金属の脚側に当たります。
対象となる月蝕は、その脚の位置を変えろと訴えます。位置を変えたりなんかしたら、綺麗な円は描けない。宇多田さんは断固拒否しようとします。月蝕とASCの戦いは相当激しくなるでしょう。しかし月蝕が投げかける「変えろ」という言葉の解釈を変えたとき、宇多田さんに変化が訪れます。

それまでは軸足の場所を移したら、円は描けないと思っていました。円は不格好となり、美しさのかけらもありません。しかし軸足を動かしても、綺麗な円はいくらでも描けます。なんならコンパスじゃなくて棒なり何なり、代用できるものはいくらでもあります。
円を描くのに必要なのは尖った軸足ではなく、もう片方の脚との接続部分でありバランスを取る役割を果たす中心機構だったのです。

「軸足を動かしても、私が私でなくなることはない。むしろ両脚を広げる角度を変えることで、大小様々な円が描ける。たまには、ペン先の色を変えてもいい。そしてその円は、描く場所を選ばない。コンパスごとつまり私自身が動いても、円は綺麗にその軌跡を残す」。ASCと月蝕の戦いを終えて辿り着いた先には、そんな柔軟な考え方が待ってたのかもしれません。

月蝕が起こるふたご座のクオリティは、まさに「柔軟」。ASCがあるさそり座のクオリティは「固定」ですので、生まれてからの30年間、ほとんど動かなかった考え方をこの年の月蝕は解きほぐす可能性がありそうです。


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月蝕は、(ト)木星がいる場所で起こっています。つまり両者はコンジャクションの関係になります。
場所は第8ハウス。第8ハウスは「遺産と死のハウス」であり、生と死また相続に関係したことを管轄します。このハウス内にいることで、(ト)木星は宇多田さんの動きを抑え、月蝕は抑えから完全に停止へとその流れを奪ってしまうでしょう。

木星には拡大とか発展といった広がりをもたらす力があるのですが、このハウスにいることでその動きにブレーキがかかります。さらに(ト)木星は逆行中でもあるので、木星の性質はなおさら発揮されにくい状態と言えます。そこに月蝕が、とどめを刺す。まして場所は第8ハウス。
この年は何かが動かなくなり、あきらめるとか終わるといった区切りをつけることがいくつも起こりそうです。

抑え、停止、ブレーキ、あきらめる。何とも寂しい言葉が並ぶこの年の宇多田さんのホロスコープですが、一方で希望の芽がその先を覗かせていたりもします。

月蝕の真向かいには(ネ)木星がいます。(ネ)木星は第1ハウスにいたり(ネ)天王星とコンジャクションになっていることで、自身の性質をなかなか発揮することができない状態に置かれていました。
しかし正面から太陽と月が起こす強大なエネルギーを浴びることで、(ネ)木星は持っていた能力を外に出していこうと試みます。

このとき重要視しなくてはいけないことは、自分で自分を縛らないこと。
それまでの宇多田さんは確かに彼女自身ではありますが、そこにこだわっていてはダメなのです。生きていれば、年齢を重ねれば、成功や失敗をたくさん経験すればするほど、考え方は変わっていきます。それでいいのです。死ぬまで人は変わり続けるし、変わり続けても構わないのです。変わっていく自分を受け入れていいのです。

変わることは大変で面倒くさいのですが、変わっていかないと人は生きていくことができないのです。でなければ時代の変化は起こらず、今であれば令和の時代でありながら、昭和やそれ以前の価値観に何の疑問も持つことはないでしょう。
昭和時代の価値観に今を生きる私たちが疑問を持つのは、私たちがゆるやかに、しかし確実に変化してきたからにほかなりません。

宇多田さんに対して、なぜ重要視することが自分で自分を縛らないことなのかというと、月蝕が起こるふたご座、そして(ネ)木星がいる星座がいて座で、ふたつの星座のクオリティが共に柔軟だからです。

クオリティは、その人が起こす行動の特性を表すとされています。柔軟であれば、その時の状況に自身を適応させるといった順応性の高さをどれだけ活かせられるかがカギになってきます。
固定宮のようにしがみついたり、活動宮のように新たに事を起こすといった挑戦者である必要はありません。目の前の出来事や状況に、しなやかに対応していく。「ズル賢い」だの「いいとこ取り」などと言われようが、後ろからやって来てサラッとおいしいところだけ頂いて、一番最初に去っていく。そんな流れるような生き方とか考え方が必要なんだと、この年の月蝕は教えてくれているように思います。

確かに、生まれた瞬間から心のキズに縛られ続け、そしてこの先もずっとキズと共に生きる宇多田さんからすれば、そんなズル賢い考え方は癒しにつながるのかもしれません。

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