鳥羽シェフとの仲を取り沙汰されたときの広末さんの気持ちは、おそらく「え、こういう付き合い方ってマズいことなの!?」といった驚きが最初に訪れたのではないでしょうか。
「悪いことをしている」という感覚は、一切なかったように思われます。広末さんとしては「友達の延長線上」に鳥羽氏がいただけであって、自分が取った行為が夫や子供たちを裏切ることだとはまったく承知していなかった。そんな心の声が聞こえてきそうなのです。

広末さんの恋愛は、友達付き合いから発展していくことがほとんどでしょう。そこに重い雰囲気はありません。そして友達から恋人関係へと進化しても、熱量はそれほど変わることはなさそうです。
「仲の良い友人」というポジションは保ったまま、そこに恋人同士としての愛情が加えられていく。そんな感じです。

というか、むしろベッタリとした恋愛は苦手なのではないでしょうか。
いつでも一緒。今どこにいて何をしているのか常に把握していたい、といった監視するような恋愛や束縛するような関係は、最も嫌うパターンのようです。それは広末さんが自由を大事にしているから。
恋はいつでもしていたいけれど、それは自由が守られていてこそ。自分が追いかけられたり、追いかけるような恋愛は精神的な負担が大きすぎるのです。

この自由を優先順位の最前列に据えるのは、結婚した後でも同じです。
結婚は契約でもあり、一夫一妻制を採用している日本においては、その相手は互いにひとりだけというのがルール。しかし広末さんがこのルールに適応するのは、かなり難しいことでしょう。
それは「自由が何時いかなる時でも尊重されていること」が重要であり、たとえ結婚した後であってもその「マイルール」が変わることはないからです。

いま付き合っている人もしくは夫がいても、別の男性が気になる。その男性との仲が進んだら、それまで付き合っていた人（夫）とは別れる。そして新たな恋人と付き合っていても次第に飽きが来て、また別の男性に目が行く。そんな風に、広末さんの恋心はいつでも動き回っているようです。
広末さんの恋模様は制限がないスタイルであり、それは自由と移り気そして飽き性という3点がセットになったもののように見受けられます。

そうやって隣にいる相手がコロコロ変わる恋愛をたしなむ広末さんですが、必ずしも常に違う相手が欲しい訳でもないようです。
ひとりでいいのなら、ひとりがいいのです。ただ自分があまりにも飽き性なのと、他人からの愛情がたっぷり欲しいのだと思います。尋常ではないほどに。

愛情に飢えているのではないでしょうか。それは子供のころ、存分にもらえなかったから。
ご両親、特に母親からの教育が厳しく、甘えるだとか愛情をもらうといった雰囲気ではなかったかもしれません。親に甘えたい時期に甘えられなかったという経験は、大人になってからも心の奥でキズとなって疼（うず）き、本人にダメージを与え続けます。

愛を求めても、もらえない。場合によっては否定される。すると、愛を欲することを抑え始める。「愛を求めることはいけないことなんだ」と、自分の欲求をずっと制限してきた過去があるのではないでしょうか。
その反動も手伝って、大人になってから枯渇している愛情という名の大きな器を「複数の恋人を持つ」ことで埋めようとしている印象を受けます。

しかしどれだけ多くの人と付き合ったり、どれだけたくさんの愛情をもらっても、その器がいっぱいになったり溢れることはないでしょう。
なぜなら、愛が欲しいと渇望していながら、愛を持つことに恐怖を持っているから。

愛を手に入れたら、子供のときのように冷たく対応されるのではないか。自分の存在を認めてもらえないのではないか。そういった恐怖がどうしても勝ってしまい、たったひとりから注がれる愛、つまり本気の愛情を受け取るのが怖いのかもしれません。
結婚するとき、人は永遠の愛を誓います。その永遠の愛が欲しいのに、いざ手に入れようとするとそれを抱えることに恐怖心が湧き上がってしまうという葛藤が、広末さんのなかに渦巻いているようです。

愛が欲しいのなら、愛することや愛されることへの恐れを癒すことの方が先になります。
それは不確かなもので、時の流れとともに変わるものでもあります。一方で、そんななかでも変わらず、一途なものもあります。その一途なものを育むことです。信じることです。

とは言え、仮に愛情に対する恐怖心を克服したとしても、移り気なところは変わらず。そういった事情もあって、結婚はあまり向かないようです。
するなら、心のキズを克服してから。ひとりの人を愛し続けることの尊さと重みを知ってからの方が、幸せを何十倍にも膨らませることができるでしょう。

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