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荒川静香さん     5/7ページ     2023.06.01 UP

やぎ座にとって、かに座は弱点になります。
やぎ座は社会的な組織を作り、実利を求めるサイン。対してかに座は情感や情緒といった心の揺れを大切にするサインです。やぎ座にとってかに座の感情的なところは弱点…というか、不要なものになります。

例えば、会社を存続させるためにリストラを敢行したとき、面談で社員ひとりひとりの事情や気持ちに寄り添っていたのでは、誰ひとり退職させることはできません。
面談をする担当者の心理的負担は相当重いでしょうが、「これも仕事だ」と割り切らなくては職務を全うできませんし、会社も生き残ることはできません。

「かわいそう」とか「申し訳ない」といった心の揺れを表す感情という存在がここで入ってきたということは、やぎ座の実利一辺倒なやり方を変えろ、という星からのメッセージに他ならないでしょう。

かに座の侵入によってやぎ座の厳格さや頑固さ、それに冷淡さは壊されました。今やぎ座のなかでは、かに座がもたらしたありとあらゆる感情が飛び交っています。そこでこの18度ではやぎ座の規律性を活かして、感情の鎮静化を図るのです。

やり方は、それまでの強制的なものではありません。自らの意思で抑えるという自制心を養うことで、感情の揺れに左右されることなく、任務を完遂しようと試みるのです。
感情に振り回されてばかりだと何も得ることがないばかりか、信用を失ったりと減ることしかありません。荒川さんが湧き上がる感情を上手くコントロールしながらタスクをこなせるという、精神的にとても大人である人物であることを、このサビアンシンボルは物語っています。
彼女のことを「いつでも冷静」とか「自分から感情を抑えるところがある」と読み解いた理由は、こんなところからも伺うことができたのでした。

また「実は気分屋なところもある」や「情緒不安定になるときもある」のは、荒川さんのなかにあるイギリス国旗が大きくはためいているとき、なのかもしれません。


そしてもうひとつ、まったく別の方法で、荒川さんは溜まっていたストレスを上手く解消できる手段を持っているようです。
それはみずがめ座6度が位置するサビアンシンボル「ミステリー劇の演技者」がもたらしてくれた能力です。

タイトルを見てわかるように、やらなければいけないことがあるのに気が進まないときは、なんと自分が役者になって、役がタスクをこなすよう設定。そして公演が終われば役ごとそのタスクとはお別れ、という方法を身につけているのです。

やぎ座が示す規律や権威など社会的束縛から解放されたみずがめ座は、1~5度が属する第1グループで自らが示す独創性を思いっきり発揮したり、やぎ座の性質に対して露骨に反発する姿を見せたりしました。しかしそうしたしがらみから逃れられたとしても、生きていれば何かしらの役割を担うことは往々にして起こる出来事です。
サラリーマンを辞めてフリーランスになっても、税金は納めなくてはならないのと似ています。

そこでこの6度では、自分と役目のあいだに演技者という存在を創り出し、逃げ切れない役目が来たときはこの演技者が引き受けるという仕組みを取ったのです。そうやって「本当の自分は、何も背負っていない」と意識付けすることで、自由を愛し束縛を嫌うみずがめ座としての性質を守ろうとしたのでした。

回って来るやりたくないことも、それは役者としてこなせばいいのだと、ある意味割り切って努めます。そして舞台の幕が下りたら役共々捨ててしまえばいいわけです。

ときには辛く感じる練習も、自分とは違う誰かがこなすんだと思えば、心持ちも変わってきます。オリジナルのキャラクターを作って、そのキャラならどんな風に考えるだろうと想像すれば、むしろ面白さすら出てきます。
さらには、キャラクターも二人三人と増やしていけば、人数分だけ舞台も華やかに彩られます。

そうやっていくつもの舞台をこなしていくことで、努力の積み重ねに伴う辛さを乗り越えていったように思われます。


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多くの困難を乗り越え、数えきれないほどの苦労と努力を重ねた結果、荒川さんは見事トリノオリンピックで金メダルを獲得することができました。そのことを目標とし、一途に突き進んできた荒川さんにとってこのご褒美は感涙にむせぶものだったことでしょう。
こうした大きな目標を達成したあとに陥りやすいのが「燃え尽き症候群」です。かけてきた時間や労力が大きければ大きいほど、目標に辿り着いたり手に入れたあとの虚無感も大きく、その落差に苛(さいな)まれる人も少なくありません。それまでの人生のすべてを投入してきたのですから、突然もう今まで取り組んできたことから解放されれば、どこに向かって進めばいいのかわからなくても無理はないことです。

でもおそらく荒川さんは、そんな思いに囚われることはなかったのではないでしょうか。確かにオリンピック出場やそこで金メダルを取ることは長年の夢でしたが、その夢が叶ったからといってうずくまることはなく、あっさりと次のステージへ意識を向けたように思います。
そんな淡々とした性格を予想させるのが、ASCがいるやぎ座24度がいるサビアンシンボル「修道院に入る女」です。

修道院は厳格な戒律に沿って生活を続けることで、傾倒する宗教などの教えを学んでいく施設ですが、一方で社会的制裁を受けた人が逃げ込む避難所としての役割も担っています。どこにいても攻撃を受けてしまう人が、この施設内にいればバッシングを回避することができます。
女の姿を借りたやぎ座は、24度でこの社会的に隔離された場所へ逃げ込みます。と言っても、やぎ座が何か悪いことをしたわけではありません。「どこにもいる場所がないから」修道院へ向かったのではなく、「もうここにいる気はないのに、だからと言ってほかに行く場所がわからないから」修道院の門をくぐったのです。


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